株式会社アルサ (アルサグループ)
福岡市博多区中洲5丁目5番13号
プラスチック削減のための取組等を通して、既存事業をサステナブルに

リネンサプライ(※)を中心に、多彩な事業を営む全22社から成る「アルサグループ」さん。自然派クリーニングをコンセプトにブランドの一新を行った「Solairo Cleaning Factory」では、環境保全のためのさまざまな取組を推進中です。執行役員の毛利さんにお話を伺いました。
※リネンサプライとは、ホテルや病院などの施設で使用されるシーツやタオル、ユニフォームなどを、事業者がレンタル・回収・洗濯・仕上げまで一貫して行うサービスのことです。
まず、アルサグループさんのご紹介からお願いします。
弊社は「いつも、快適の真ん中に」というコンセプトのもとに、病院・ホテルのリネンサプライを主軸に、おしぼりやマットレスのレンタル事業、水の宅配事業や清掃事業など多岐にわたる事業を手掛けています。リネンサプライにおいては西日本でも最大級のグループです。
プラスチック削減の取組を始めたきっかけと、その内容について教えてください。

もともとクリーニング店を経営していたのですが、コロナ禍で売り上げが半減しました。また、服が古くなったら捨てるといったクリーニングを必要としないスタイルのファッションの台頭もあって、実は事業撤退しようかというところまでいったんです。では、どういうクリーニング店なら今後必要とされるのか。いろいろ考える中で、子どもたちに胸を張れるようなお店作りをしたいと、「自然派クリーニング」というコンセプトが生まれました。そこで何をやろうかと最初に考えたのが「洗剤」です。正直なところ、クリーニング事業自体が環境負荷の高い事業サービスになるので、まず環境負荷を減らすために100%植物由来の洗剤をメーカーさんと1年かけて開発しました。

すごく良いものができたので、ご家庭でも使っていただきたいと、量り売りスタイルで店頭販売することにしました。容器を持参していただけば、使い終わったボトルが廃棄されることもありませんからね。そして2021年10月、「Solairo Cleaning Factory」の2店舗をオープンしました。
次に目に付いたのがプラスチックハンガーです。クリーニング業界ではプラスチックハンガーを大量に使用し、家庭でも大量に廃棄されています。このままでは環境負荷が高いので、何かできないかと代替素材を探していた時に、福岡県リサイクル総合研究事業化センター(以下、リ総研)さんから、ハンガーに挑戦したいという段ボール会社さん(大国段ボール工業株式会社)があるというお話を聞きしたんです。リ総研さんにマッチングをお願いしたところ、私たちも「紙素材で」と考えていたので意気投合して、すぐにワイシャツ用の軽量タイプハンガーの開発に取りかかりました。それが2022年2月のことです。
開発はスムーズにいきましたか?

かなり大変でしたね。ハンガーはネック部分が一番細くなっていますが、ここに一番荷重がかかります。さらに、カバーを掛ける包装機を使うには2センチ以下でなければという制約があり、その中で強度を持たせるのに苦労しましたね。試行錯誤の結果、ネックとボディの二つのパーツに分けることにしました。ボディの方はそんなに痛まないため、何度もリユースができるんです。こうしてワイシャツ用段ボールハンガーは2022年11月に完成しました。まずは1店舗(博多駅東店)で使ってみながら、お客様の声もお聞きして改良を重ね、翌年の4月には全店舗(この時点で4店舗)で使い始めました。その後、ジャケットやスーツなどもかけられるように数キログラムの重量に耐えられるタイプ、さらにパンツやスカート、ワンピースなどもかけられるオールマイティーなタイプの段ボールハンガーが完成し、それぞれグッドデザイン賞を受賞しました。
段ボールハンガーは基本的には店舗で回収してリユースし、ボロボロになったらリサイクルに回すという循環システムを作っています。お客様にも、そこをご理解いただくような呼びかけをしています。
※ワイシャツ用段ボールハンガーの詳細は次のリンク先をご確認ください。
[関連リンク]ワイシャツ用段ボールハンガー
お客様の反応はいかがですか?
環境に配慮したとてもよい取組だと、応援してくださる声がすごく多いですね。強度でいうとプラスチックハンガーには勝てないので、皆さんそこに配慮して利用してくださっているんだと思います。そういう意味では、お客様の協力がないと成立しない取組ですからね。洗剤の量り売りは親子のお客様が多くて、お子様がおもしろがってやってみたりと、親子で楽しく体験していただいているようです。
取組の効果は?

洗剤の量り売りによって、プラスチックボトルに換算すると年間100キロほどのプラスチックを削減できています。また、段ボールハンガーに切り替えたことで、年間約1.5トンのプラスチックハンガーを削減できました。
これは予想外の効果といえるかもしれませんが、以前は50代、60代の方が中心だったお客様の年齢層が一気に若返って、20代の方が一番多くなりました。独身男性の方や単身赴任されている男性の方もよく買いに来てくださいます。男性の方が利用してくださるというのも驚きでしたね。皆さん、環境意識が高いのかなと思います。それに、コロナ禍以降、売上は3割減で横ばいでしたが、「Solairo Cleaning Factory」にした店舗だけV字回復して、新規のお客様がずっと増え続けています。今ではコロナ禍以前を超えているような状態です。こういうクリーニング店は全国的にも非常に珍しいのではないでしょうか。
リ総研 と共同研究も行っているそうですね。

(毛利さん)
はい。これがもう一つの取組で、ビニールカバーの水平リサイクル(使用済みの製品を原料として同様の製品を製造するリサイクル方法)に挑戦しています。以前から使用している再生可能なバイオマス製ビニールカバーを店舗で回収し、ペレット化して、またビニールカバーに戻すのですが、本当に難易度が高くて…。リ総研さんと2022年から取り組ませていただいていています。

(リ総研 プロジェクト推進班 田尻班長(写真左))
プラスチック資源循環法が2022年4月に施行されました。その中で、衣類用カバーは特定プラスチック使用製品(※)に指定されており、事業者としてプラスチック削減のための対策が必要でした。その対策の一つとして衣類用カバーを回収し水平リサイクルで再びカバーに戻そうという2022年から3か年の実証事業に、アルサさんには積極的に取り組んでいいただきました。水平リサイクルとなるとかなりの量の衣類用カバーを集めなければならず、コストもかかるなどの課題はありますが、それでもアルサさんは前向きに取り組んでいただいています。環境に対する企業意識が非常に高く、お客様の意識も高いと感じています。段ボールハンガーのときのように、お役に立てることがあれば、引き続き協力していきます。
(※)特定プラスチック使用製品:商品の販売などの提供に付随して消費者に無償で提供されるもののうち法令で指定されるものです。これらの製品を取り扱う事業者には、環境負荷を減らすため、削減や再使用などが求められます。
(毛利さん)
実証事業では、福岡県さんにも入っていただき、衣類用カバーをビニールカバーには戻すことができました。あとはコスト面ですが、遠方の再生事業者さんだと輸送コストに加え二酸化炭素排出による環境負荷もかかってきます。ようやく今、福岡県内で事業者さんが見つかったので、ぜひ実現させたいと思っています。これが実現すれば日本初となり、理論値ですが年間で500キロほどのプラスチック包装を削減できる計算になります。
福岡県の補助金を活用したプラスチック代替製品の開発についても教えてください。
洗剤の量り売りを広めるために、課題となっている部分を解決できるようなプロダクトを開発したいという思いがあって、福岡県の補助金(福岡県先進的プラスチック代替製品開発支援補助金)を申請しました。量り売りを利用する際、ボトルを持参していただきますが、バッグの中に入れると結構かさばってしまいます。そこで今、折りたたんでコンパクトにできるシリコン製のものを開発しているところです。シリコンはケイ素という自然由来のものでできているので、燃やしても有毒ガスは出ないし、プラスチックより耐久性にも優れています。すでにデザインは出来上がっていて、2026年の春ごろには、クラウドファンディングで需要調査をしようと考えています。この製品が全国に広まることで、量り売りスポットを探すきっかけや量り売り専門店が増えることに繋がるのかなと思っています。
※福岡県先進的プラスチック代替製品開発支援補助金制度の詳細については、次のリンクよりご覧ください。
[関連リンク]福岡県先進的プラスチック代替製品開発支援補助金制度
そのほかに取り組んでいることはありますか?

洗剤類の売上の一部を海洋保全団体さんに寄付していますが、寄付先の団体さんと一緒にビーチクリーン等のイベントを行う活動も行っています。
また、環境教育にも力を入れていて、次世代を担う子どもたちの環境についての学びを支援するために、地域で開催されるイベントにも積極的に参加しています。例えばキッザニア福岡主催のワークショップでは、世界で一つだけの段ボールハンガーづくりを実施しました。環境教育では、楽しみながら環境に関心を持ってもらえるように活動しています。

ほかにも、100%リサイクルナイロンを使った「ecoma(エコマ)」というブランドのマットを作りました。CO₂排出量を90%削減できる、日本初の環境配慮型レンタルマットです。オフィスなどからの引き合いがとても多くて、ありがたいですね。
また、グループ会社に宅配水事業を行っている会社があって、そこでボトルキャップをマテリアルリサイクル(廃棄物を原材料として再利用すること)しています。
最後に、今後の目標をお願いします。
1.量り売り商材の拡充
2.段ボールハンガーの全国普及
3.ビニール水平リサイクルの全国普及
今後は量り売りの商材を台所洗剤などに広げていくと同時に、シリコンボトルを開発し普及させていくことで、年間500キロのプラスチック容器の削減を目指します。段ボールハンガーについても、全国のクリーニング店さんだけでなく、アパレル企業さんやホテルさんなどにも使っていただくことで、年間1.5トンのプラスチックハンガー削減量をさらに倍増させていきたいですね。また、ビニールカバーの水平リサイクルを成立させて、全国普及に向けて動くことができればと考えています。それから今、私たちはサーキュラーエコノミー(循環型経済)に取り組んでいますが、段ボールハンガーの資源循環性の測定、評価まで行っていきたいと思っています。

私たちは、「地球温暖化や海洋汚染といった環境問題のない世界をつくりたい!」という思いで、さまざまな取組に挑戦しています。そこが私たちのゴールです。
会社・店舗情報

株式会社アルサ (アルサグループ)
- 住所 福岡市博多区中洲5丁目5番13号
- ホームページ https://solairo-cf.jp/
