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ポコムーチョ株式会社

福岡市中央区白金1-10-30

「ごみをゼロに」をコンセプトとした量り売り専門店

ポコムーチョ株式会社さんは、福岡県内でも珍しい量り売り専門店で、インターネット販売でも量り売りに対応しています。また、消費段階での食品ロス削減に寄与しているとして、令和6年度福岡県食品ロス削減優良取組知事表彰(※1・※2)を受賞しました。そんなポコムーチョ株式会社代表の柳瀬さんにプラごみ削減の取組について、お話を伺いました。

※1参考:福岡県食品ロス削減優良取組知事表彰について
※2参考:令和6年度受賞取組紹介

まず、ポコムーチョさんについて教えてください。

量り売り専門店として2020年4月にオープンしました。創業時、量り売りの専門店は全国に4店舗のみでした。さらに「ゼロウェイスト」(ごみをゼロにすることを目指す考え方や取組)をコンセプトとした量り売り専門店は、全国でも珍しかったと思います。
また、取り扱っている商品の70~80%は無農薬で、誰が作っているのかきちんと分かるものだけにしています。
店名は、スペイン語で多すぎず(mucho)少なすぎ(poco)ない、自分にとってちょうどいい喜びの素が見つかる、そんな想いで「ポコムーチョ」としました。

プラスチックごみ削減のために、どのような取組を行っていますか?

お店には、持ち帰り用のプラスチックの袋や容器は一切ありません。置いているのは紙袋とビンだけです。
最初はマイ容器を持参いただくことで、プラスチックごみが削減できると考えました。海外の量り売りのお店では、マイ容器持参を徹底しているところもありますが、それを日本でやってしまうと、お客様が来なくなると思うんです。また、「ここは容器を持参しないと買い物できない」というのはちょっと説教臭いかなと思ったので、紙袋とビンを置くことにしました。まず最初に量り売りの仕組みを体験してもらって、その後「実はうちはマイ容器で買い物ができるんです」「マイ容器を持参いただいたら割引しますよ」といったことを口頭でお伝えしています。ちなみに、マイ容器持参の割引率は3%です。

このような取組を始めようと思ったきっかけは?

ずっとIT業界で仕事をしていましたが、自分に都合のいい、見たいものだけ見るような生活がちょっと苦しくなってきたんです。それで、真逆の世界に踏み込んでみようと、岡山県の山の中にある自然食の宿に住み込みで働き始めました。毎朝5時に起き、食事は自分で耕して作ったお米と野菜中心という生活を送るうちに、体重は15㎏ほど減って体は軽くなったし、頭は冴えるし、睡眠の質も良くなりました。食べ物を変えたら人生が変わるということを実感したんです。そして、不思議と生きることに自信が湧いてきました。そんな時です。地元の東峰村が九州北部豪雨の被害にあい、何か自分にできることはないかと考えるようになりました。
山から下りて何をやろうかと探していたら、スーパーで使い捨てや過剰包装された商品、見切り商品などが目に入りました。山での生活では、収穫した野菜は基本的に皮まで使うので、ごみはほぼ出ません。ごみという概念が、もうほとんどなくなっていたんです。そこで、包装から無包装に、使い捨てから使い切りに、パック売りから量り売りに、そんな場所があれば、僕にも何かできるんじゃないかなと思ったんです。

お客様の反応はいかがでしたか?

最初、お店をオープンする時は、既存のスーパーとは違う、必要なものを必要な分だけ買うという仕組み自体が受け入れられるかどうか、かなり不安でした。いざ始めてみたら、「ああ、そういう仕組みなのね」と割とすんなり受け入れていただきました。

取組の効果はありましたか?

プラごみ削減に関しては、1人が平均3点購入されるとして、年間で大体10万袋近いプラスチック袋の削減になっているのではないかと思います。
マイ容器持参については、毎日数字を確認しています。最初の1年間はどう頑張っても5%くらいでした。何か割引などの制度を作れば効果があるかなと思い、試しにマイ容器持参で3%引きにしてみたところ、持参率が大体20~30%くらいまで上がりました。割引をすることで、マイ容器持参にここまで繋がることにちょっとびっくりしましたね。最近、いろいろな物が値上げしていますが、値上げが始まってさらに増えています。ビンなどの再利用も含めて、完全にマイ容器持参のお客様は6千名くらいいらっしゃいます。

プラスチック削減に関して、そのほかの取組は?

マイバッグの代わりに、皆さんの家で眠っている紙袋を寄付いただいて、それを再利用する仕組みを作りました。「いつも捨てていたけど、使ってもらえるなら」と寄付していただく方もいて、うれしいですね。もう4年以上やっていて、寄付袋がゼロになることはほぼありません。
うちは通販もやっていますが、通販はプラスチックの袋で発送していることがほとんどです。ビンは重いし破損のリスクもあるので、何かいい袋はないかと探しましたが、なかなかなくて。自然に還る密閉性もある袋として、微生物に分解される植物由来の袋を作ることにしました。袋に貼るシールも、水で完全に溶けるものを採用しています。袋は大量に作ったので、他の量り売りのお店や業者さんにも使っていただきたいですね。
あと、飲食店さんやバーなどからナッツを配達してほしいという要望が結構あります。以前はビニール袋に入れて配達していましたが、一回使ったら捨ててしまうのでもったいないですよね。今は、強度のあるプラスチックの容器に入れて配達し、牛乳ビン回収のような形で次回配達の際にその容器を回収して、繰り返し使うようにしています。配達先のお店の方も、「うちは環境に配慮した取組をしている」と言えますからね。

個人的には、毎日、ごみ拾い専用のスクーターで移動しながら、ずっとごみ拾いをしていました。今は子育て中で休んでおりますが、1000日以上続けました。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

量り売りのお店を始める時は、自分の手の届く範囲で、自分にできる手段で皆さんに楽しんでいただきながら、ごみ問題を何か少しでも解決ができたらいいなと思っていました。そのうち、食品を売っている僕らはあくまでも一番最後の工程、一番下流にいますが、じゃあ上流の方はどうなっているんだろうという疑問が湧いてくるようになったんです。それで去年、自分が一番好きなマカデミアナッツを栽培しているアフリカのルワンダに行って来ました。なぜこんなにおいしいのかと思って現地を見に行くと、全部手拾い。現地の人に話を聞くと、若者のために何か産業を作っていかなければと、マカデミアナッツに目を付けたというその国の事情も分かってきます。環境問題に関しても、今後はもう少し全体的に捉える視点で関わって、何かできることをしていきたいと考えています。

会社・店舗情報

量り売り専門店として2020年4月にオープンしたポコムーチョ株式会社。 「ゼロウェイスト」(ごみをゼロにすることを目指す考え方や取組)をコンセプトとして運営しています。 店名は、多すぎず(mucho)少なすぎ(poco)ない、自分にとってちょうどいい喜びの素が見つかる、そんな想いで「ポコムーチョ」としました。

ポコムーチョ株式会社

  • TEL 092-525-0025
  • 住所 福岡市中央区白金1-10-30
  • 定休日 月曜日・不定休
  • 営業時間 11:00-19:00
  • ホームページ https://pocomucho.jp/