株式会社UPay
福岡市中央区大名2-2-1 MIKIビル7F
日本初!完全植物由来の「米ストロー」を製造・販売

飲食店などでよく使うストロー。多くはプラスチック製で、最近は紙ストローを導入している飲食店も増えてきています。このストローを、日本人の主食であるお米をベースに作ったのが、福岡市にある「UPay」さんです。現在、米ストローの製造・販売をメイン事業としています。ストローの材料にお米を使うという発想の背景には、プラスチックごみ削減だけでなく、上官社長の熱い思いがありました。
まず、米ストローを作ろうと思ったきっかけを教えてください。

コロナの影響でしばらく日本へ帰国できない状況が続いていた中、義理の父が経営する製紙工場で大量の紙ストローが返品されてきている状況を目の当たりにしました。「紙ストローの口当たりが苦手」「子どもが食べてのみ込んでしまう」「ふやけてしまって短時間しかもたない」といったクレームも寄せられていました。そのため、私たちは別の素材で植物由来のストローを作るという選択をしたんです。
サトウキビや竹などの素材も検討しましたが、その場合、多少プラスチックを使わざるを得ません。そんな時、パスタストローやタピオカ粉を原料とした、微生物により完全に分解される「完全生分解性ストロー」の存在を知りました。そして、いろいろ調べていくうちに、お米を使えないだろうかと考えるようになりました。日本のお米の消費は年々減少していて、大量の砕け米(もみすりや精白の過程で砕けたお米)が活用されていない現状を知り、市場に出回らない砕け米を農家さんから買い取って原料にすることで、少しでも農家さんの応援につながるのではないだろうかと思ったんです。これが原点となり、1年半の開発・改良を経て、現在の米ストローは誕生しました。
米ストローの特徴は?

原材料は米、コーンスターチ、水だけの完全植物由来の製品で、1時間使用しても溶け出したり、味に変化を与えたりしない無味無臭のストローです。使用後は約30日で土に還ることができます(公益財団法人九州先端科学技術研究所調べ)。また、マカロンなどに使う食用の着色料を使用し、見た目も楽しんでいただけるようなカラー展開をしています。もし食べてしまっても体に害はありませんし、飲み物の風味が変わることもありません(一般財団法人日本食品検査による溶出検査もクリア)。ただ、「食べられる」ストローではありますが、あくまでもストローであって食品ではありません。食品にしてしまうと賞味期限や消費期限の設定が必要となるほか、必ず食べなければならないというプレッシャーや新たなフードロスも生み出してしまうため、食品としての製造は今後も予定しておりません。
お客様の反応はいかがですか?

現在は外資系ホテルや、海ごみに関心のある離島、水族館、植物園、動物園などに導入いただいています。30日で完全に生分解されるという点にも意義を見いだしてくださっているようです。動物園では和歌山のアドベンチャーワールドさんが3年以上使ってくださっていますし、福岡でもマリンワールド海の中道さんがお土産としても販売してくださっています。実際に米ストローを使用した方からも、無味無臭でサラッとした口当たりや優しい色合いなどが好評だということです。
また、商品の品質や環境への配慮が評価され、日本だけでなくアジアや欧米、中東など海外の自治体や企業からの問い合わせも増えてきました。海外で開催される日本の食の展示会や、福岡市で開催されたシンガポールのイベントに出させていただいたりしている中で、イギリスやカナダなどいろいろなところから購入したいという声をいただいています。
米ストローの普及による効果は?

元々、プラスチックの使用を控えていく新製品として開発した経緯がありますから、プラスチックごみ削減はもちろんですが、商品価値が低く市場に出回らない、精米の際に発生する「砕け米」を使用することでフードロスの削減などにもつながっています。日本のお米を余すところなく使う、「もったいない」という意識を米ストローというカタチにしていくことで、フードロスの削減と脱プラスチックに取り組み、サステナブルな未来の実現を目指しています。
米ストローを使った新たな取り組みなどがあれば教えてください。

米ストローを使って弊社に何ができるかをいろいろ考えていたところ、縁あって今回、ツシマヤマネコ米の砕け米を使って米ストローを作ることができるようになりました。このツシマヤマネコ米は、ツシマヤマネコの保護のために佐護ヤマネコ稲作研究会さんが作っているお米です。日本全体で見るとお米の収穫量も消費量も毎年減少していますが、ツシマヤマネコ米は収穫量も販売量、消費量も軒並み右肩上がりなんです。


こうした米ストローを作って販売することが社会貢献やツシマヤマネコの保護活動につながっていけば、とてもうれしいですね。
米ストロー以外の商品展開は考えていますか?

現在、米ストローの素材に耐熱性等を持たせたスプーンを開発しているところです。既に機内食で使いたい、テイクアウトのお弁当のスプーンに使いたいといったご要望をいただいています。
最後に、今後の目標や展望をお聞かせください。

現在は、小さな工場(福岡市東区)で製造していますので、生産量には限りがあります。米ストローも選択肢の一つとしてお客様の手に届きやすい状態にするために、工場の拡大等がまず一つの目標です。
また、もともと弊社の商品に持ち手が竹の歯ブラシがありますから、そちらと併せてSDGsのノベルティーのご提案というところにも力を入れていきたいと考えています。



今後は、米ストローを始めとした当社の脱プラ商品を“エコだから使う”のではなく、“かわいいから、楽しいから、使いやすいから使う”、そういう方がもっともっと増えてほしいです。そして、子どもたちをはじめ多くの方にとって、米ストローなどを手に取ることがSDGsを学ぶきっかけになったらと思います。あともう一つ、米ストローを広げるという、これまで誰もやったことのない活動を弊社が展開していく中で、自分も何かにチャレンジしてみようと思ってくれる方が一人でも出てくれれば、こんなうれしいことはありません。「そんなの絶対無理だよ」などと言われても、それでもやってみる経験というのを大事にしてほしいですね。
会社・店舗情報

株式会社UPay
- 住所 福岡市中央区大名2-2-1 MIKIビル7F
- ホームページ https://upay.co.jp/