株式会社岡野
福岡県那珂川市片縄東1-6-21

博多伝統のものづくり。受け継がれてきた「ものを大切にする」精神。
伝統的工芸品「博多織」の織元として130年近い歴史を持つ「岡野」さん。博多織の文化を継承しながら、時代に寄り添い、博多から新しいきもの文化を発信しています。プラスチックごみ削減については、みんなが「当たり前のこと」として行っているという同社の取組について、取締役管理部部長の山本さんと日高さんにお話を伺いました。
まず、岡野さんのご紹介からお願いします。

創業は 1897(明治30)年です。もともとは福岡市の呉服町にありましたが、福岡市南区の三宅本町に移転し、その後、現在の福岡県那珂川市に移って来て50年あまりになります。博多織は帯の方が有名です。たて糸の量が多いためハリとコシが出て、江戸時代には刀が落ちない帯として全国に広まりました。私どもの主力製品は帯や着物ですが、やはり帯の販売量が大きいですね。ただ、着物を織れる織元さんは少なくて、博多織の着物は結構珍しい存在です。10年ほど前からは、ネクタイやストールなどもつくっています。また、福岡県さんからの依頼で1992(平成4)年に皇后陛下へ帯を献上させていただいたり、JR九州さんの「ななつ星」に、開業当初からオリジナル商品を納品させていただいたりしています。内閣総理大臣賞をはじめとする賞も、数多く受賞させていただいています。
当社の特徴は、企画から始まり、意匠部があるのでデザインを起こして、それを織り手さんが織り、仕上げも社内で行ってと、構想・デザインから仕上げまでを一貫して生産していることです。もともとは卸売だけでしたが、20年ほど前に小売店を始めました。卸売も直販も行っている織元は、全国的にもそれほど多くはないと思います。
プラスチックごみ削減のために、どのような取組を行っていますか?

左)一般的に工場で使われる糸枠 右)現在も使い続けている自然素材の糸枠
特別なことをやっているというわけではないんです。まず工場の方からお話しすると、一般的に工場で使う道具にはプラスチック製のものもありますが、うちは基本的に自然素材のものをできるだけ選んで使うようにしています。例えば、糸を巻く糸枠は、木製のものを昔からずっと使っています。今ではなかなか手に入らないということもあって、壊れても捨てるのではなく、修理をして使い続けています。製品の素材についても、石油由来のものではなく、天然由来の素材である絹を使ってものづくりをしています。
また、社内では、ごみは細かく分類して、プラスチック製のごみはリサイクル回収していただいています。また、マイボトルを推奨するにあたって、福利厚生としてオリジナルの桑茶を定期的に社員に配布し、給湯室にも置いています。
なぜ桑茶なのでしょう?

桑茶というと、一般的には馴染みのうすいものかと思いますが、ご存じでしょうか?
実は、日本におけるお茶というものは最初、桑茶として伝わって来たそうです。その当時、桑は万病に効くお薬ということで伝来したとのことです。
桑はお蚕さんの主食でもあるのですが、当社はお蚕さんが生み出す「絹」を使った製品を扱っているので、桑に関連した製品というものを何か作れないか考えておりました。
そこで、当社とつながりのある聖福寺さん(福岡市博多区)が、「日本の茶祖」と呼ばれる栄西禅師が日本で初めて開いた寺ということもあり、そこから桑茶の制作を企画しました。日本の伝統文化や桑の振興に資する事業にしたいと考えておりましたので、そこは聖福寺のご老師からも意見を頂戴しながら製品化していきました。
クラウドファンディングで始めて、4年ほど前から一般販売もさせていただいています。パッケージからすべて社内で制作しました。桑茶はノンカフェインなので、寝る前でも飲んでいただけます。オンラインと博多リバレインモール1階のお店(OKANO博多リバレイン店)、東京ではOKANOアークヒルズ店で販売していますが、お客様の評判もいいですね。桑茶から当社のことを知っていただき、当社の事業に興味を持っていただいたお客様から、当社の日本文化や環境に対する取組に共感いただくこともありました。大変嬉しいことで、作った甲斐がありました。
ちなみにこの桑茶は、私たちもマイボトルに一包入れてお湯を入れて飲んだり、夏は冷やして飲んだりしています。少しでもプラスチックごみの削減に繋がれば嬉しいです。
社内の皆さんの反応や取組の効果は?

マイボトル持参にしても、桑茶にしても、これまで普通にやってきていることなので、特別という意識はないんです。今回、取材が入ることを工場のスタッフに話したところ、「何もしていないのでは?」みたいな反応でした(笑)。工場ももう50年以上になりますが、機械はもともとあったものをメンテナンスして使っています。道具もそうです。プラスチック製のものに替えることもできますが、ほこりが付けば拭いてまた使うということをずっとやってきたので、それが当たり前になっているんです。ただ、今回こうしたお話をさせていただく機会を得たことで、自分たちが普段、当たり前のこととしてやっていることが環境保護に取り組むことになるんだという意識付けにはなったと思います。

そのほかに取り組んでいることはありますか?
中途半端に残る糸というのはどうしても出ます。以前はそれを着物の中に織り込んでいましたが、どうしても一点ものになってしまうので、生産としては難しいんです。最近は糸が結構値上がりしていて、余らないように計算して作っています。それでも残った糸は束にして、ほこり取りなどに再利用しています。糸の間にほこりなどが入って、それをそのまま織り込んでいくと商品にならなくなるからです。ただ、これも昔から普通にやっていることです。

あとはコースターがありますね。あまりハギレも出ないようにしていますが、どうしても出てしまったハギレを近隣の障害者施設の方に依頼して、コースターにしていただいています。表は少し厚めの帯の生地、裏は着物の生地で、ハギレを余すことなく再利用しています。博多のリバレインのお店は観光客の方が多いので、置けば売れるとは思っていますが、障害者の方の訓練も兼ねて作っていただいているので、数が安定しないんです。それで今は、販促品として使っています。このような取組で、地域に少しでも貢献できればと思っています。

最後に、今後の展望をお願いします。
今、こうしたご時世の中で、「ふくおかプラごみ削減協力店」に登録し、プラスチックごみ削減の取組を宣言することによって、自分たちの意識がより高まったと思います。今後も、今までどおりのことを粛々とやり続けていきたいと考えています。
会社・店舗情報

株式会社岡野
- 住所 福岡県那珂川市片縄東1-6-21
- ホームページ https://okano1897.jp/
