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マイングループ(株式会社フィード)

福岡県遠賀郡遠賀町尾崎字馬場久保420-1

国産竹バイオマスアメニティの製造と循環型リサイクルを実現

福岡県遠賀郡に統轄本部がある「マイングループ」は、ホテルアメニティグッズ(歯ブラシなど)の企画から製造・販売まで一貫して行っています。また、独自の国産竹バイオマス原料の開発をはじめ、グループ一丸となって地球の未来を考えたさまざまな取組を進めています。企画課の小玉さんにお話を伺いました。

※バイオマスとは、植物などの再生可能な有機資源のことです。

まず、マイングループのご紹介からお願いします。

弊社は1979年に設立しました。マイングループ内で、宿泊施設向けのアメニティグッズの企画から製造・販売まで一貫して行っています。割合として多いのは歯ブラシなどのアメニティになりますが、ほかにも化粧品やシャンプー、入浴剤なども作っています。
2024年からは、プラごみ削減の取組でもある「国産竹バイオマスアメニティ製造」と「循環型アメニティリサイクル」を開始しました。現在は、この2つを柱に事業を展開しています。

「国産竹バイオマスアメニティ製造」について、もう少し詳しく教えてください。

弊社が作っていたホテルアメニティは、最初はやはりプラスチック製でした。アメニティは便利な反面、使い捨てです。そのため、弊社の創業者(現・会長)は、少し大げさに言うと、ごみを作り続けているという思いが心のどこかにあったそうです。それで20年ほど前、出始めたばかりの生分解性プラスチック(微生物によって分解されるプラスチック)の歯ブラシを試してみましたが、当時はまだコストが高く、技術面でも課題があって採用を見送ったという経緯があります。ただ、その後も環境に対する思いは変わらず、2020年あたりにまずできることからやってみようと、海外から竹バイオマス原料を輸入して弊社でそれを成形するということを始めました。ところが、コロナ禍で海外からの輸入に頼るリスクを認識するようになりました。私たちの業界は安定供給が大事になってきます。そこで、国内では放置竹林が問題になっていることもあり、何か地域貢献できないかということで、竹に着目して自社で原料を作ろうと決断したんです。そこからすぐに、2024年から竹バイオマス原料を製造する工場の稼働が始まり、現在は歯ブラシやヘアブラシ、コームなどを製造しています。

「循環型アメニティリサイクル」の具体的な内容は?

これは、弊社が製造した国産竹バイオマスアメニティの使用済み品を施設様に回収いただき、有価物として買い取り、リサイクル原料化して再度アメニティとして生まれ変わらせる取組です。従来、バイオマスが入ったプラスチックのリサイクルは難しいといわれていましたが、弊社はそれを可能にしました。なぜ他ではできないことが弊社ではできるのか。その理由は、バイオマス原料の製造から製品の製造およびリサイクルの全てを自社内でワンストップで行えるからです。つまり、弊社が作った製品だけを資源として買い取り、また同じ製品に戻すことができるということです。製造、販売、回収、粉砕工場などがバラバラだと、いろいろなプラスチックが混ざってしまう可能性も高く、物性が安定しないため、強度面などの問題が出てきてしまいます。異素材が混じらない同一材料を使うことができる、これが非常に重要なところです。

取組の効果は?

従来のプラスチック100%のアメニティに対して、今は竹を35%配合したバイオマス原料を使用しているので、プラスチックの使用量を35%削減できています。リサイクル率については、歯ブラシとヘアブラシ、コームをリサイクルしていますが、ずっとリサイクルに協力いただいているホテルなどの施設様で60%くらい、リサイクルを開始されたばかりの施設様は大体30~40%からのスタートです。これを100%に近づけていきたいと思っています。
施設様には、返却していただいた歯ブラシなどの重量を量り、月に1度「資源物重量確認書」を発行しています。さらに、温室効果ガスをどれだけ抑制できているか、二酸化炭素排出量の削減量をきちんと数値として出そうという取組を昨年の夏から始めていて、今システムを構築中です。

お客様の反応はいかがですか?

ホテルの担当の方と対談させていただいたことがあります。その時、「環境に対して個人でやるのはなかなか難しいけれど、会社規模で参加できるので、従業員の意識も向上している」という嬉しい声をお聞きすることができました。施設様だけでなく宿泊客様の協力がなければ成り立たない事業なので、皆さんで一致団結してやられていることに、とても意義があると感じています。

また、弊社では資源物売買契約を検討されるお客様には工場見学に来ていただくんです。工場の工程を見える化しているので、実際に来て、自分の目でどういうふうに循環されているか、物の流れを確認いただきます。強度対策や安定供給するための努力、工夫の部分などをご覧になることで、安心いただけるようです。そして、納得いただいた上で契約を結んでいただいています。
実際に工場を見学いただいたお客様とは信頼関係が深まり、より良い協力関係が築けていると感じます。

そのほかの取組があれば教えてください。

製造者責任として廃棄物を出さないということで、工場自体もゼロウェイスト(無駄や浪費をなくし、ごみをそもそも出さないようにするという取組)を目指しています。使用済みのアメニティは湿式の機械で粉砕しますが、その際、多量の水を使います。水も限りある資源です。実は弊社のリサイクル工場は以前、スパ施設だったんです。その時のノウハウを生かして、粉砕後の水を高性能ろ過器でろ過し、水も極力循環使用するように徹底しています。

また、粉砕する時にどうしても微細な粉が出ます。水をろ過することでそれらもキャッチし、再利用するようにしています。とにかく、できることは徹底して行っています。

自社製品で何か改善していることはありますか?

シャンプーや化粧品のボトル、さらにボトルに貼るシールやシュリンク包材(容器包装)なども、バイオマスにほぼ切り替えているところです。ほかにも、弊社の入浴剤は以前、中身に対する包材のサイズが大きくて無駄がありましたが、包材を小さくすることでプラスチックの量を約32%削減できました。
それから、弊社の歯ブラシは実は1カ月くらい使用していただける強度があるんです。そこで二次利用を促せるように、持ち帰りしやすいジップ袋タイプのご提案もしています。リサイクル率は下がりますが、弊社の商品を長く使っていただくことでごみを減らすことができるため、こういう提案も行っています。

最後に、今後の目標や展望をお願いします。

弊社の本社は北九州市にあるので、放置竹林という地域の課題を解決する活動に参加するなど、地域貢献にも力を入れています。もっと竹を消費できるように、パートナー企業様とコラボした商品展開を行い、竹のバイオマス原料を広める活動もしていきたいと考えています。放置竹林問題を解決することで、災害の抑制にもつながりますからね。
世の中には廃棄物として捨てられる活用できるものがまだまだたくさんあるので、そういったものを資源として再利用し、プラスチックの削減になるような原料にしていければと、弊社の研究室の方でも取組を行っているところです。放置竹林についても、全国にいろいろなお悩みがあるので、情報交換しながら一緒に解決していきたいと考えています。

会社・店舗情報

1979年に設立。多岐に渡る機械で宿泊施設向けのアメニティグッズの企画から製造・販売まで一貫して行っています。化粧品製造においては世界基準となるISO22716を取得し、信頼できるモノ作りに取り組んでいます。

マイングループ(株式会社フィード)

  • TEL TEL:093-291-5333
  • 住所 福岡県遠賀郡遠賀町尾崎字馬場久保420-1
  • ホームページ https://ffid.co.jp/